‘経済・投資 Money’ カテゴリ
アクティブポートフォリオのヘッジと構築: JAI 2018夏号(4)
2018-09-25
「アクティブ戦略ポートフォリオのヘッジと構築:戦略の時間軸と推定誤差」(“Hedging and Constructing Portfolios of Active Strategies: Strategy Time Horizon and Estimation Errors” by Alexander Rudin and William Marr)
ポートフォリオ運用における資産間の相関関係、誤差推定の重要性とその限界
ポートフォリオマネジメントにおいて、資産間の相関関係を予測推定することは最も重要な事項のひとつである。同論文は、ヒストリカルデータを用いた資産間の相関関係の推定とその誤差推定、その限界、それがポートフォリオ運用に与える影響を検証したものである。
特に、ダイナミックなアクティブ運用の際に、ヒストリカルデータは、それに必要な信頼ある推定値を実務家に提供できるだろうか。
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ヘッジファンド悪玉論再考: JAI 2018夏号読む(3)
2018-09-23
ヘッジファンド悪玉論について(“Reconsidering Hedge Fund Contagion” Richard Sias, H.J. Turtle, and Blerina Zykaj)
第三の論文は、2007-2008年の金融危機(日本では通称「リーマンショック」と呼ばれる)と2007年のクウォンツ危機時におけるヘッジファンドの影響を検証したもの。
金融危機時に必ず出るヘッジファンド悪玉論
問題が起こったときにわかりにくいもののせいにしたがるのは人間の常といってよいだろう。株式市場、金融市場も例外ではない、というより一般人にはなじみがない故に、その傾向はより顕著である。
2007年クウォンツ危機と2008年金融危機(リーマンショック)
2007年のクウォンツ危機時にでたのが、高度の数学的手法を用いてコンピューターによる取引を行うクウォンツ悪玉論である。2007-08年の... → 続きを読む
ファクター投資とヘッジファンド: JAI 2018夏号(2)
2018-09-22
2. "Are Hedge Funds on the Other Side of the Low-Volatility Trade?" by David Blitz
ヘッジファンドと低ボラティリティ・アノマリーの関係について
ファクター投資と市場の効率性
近年注目を浴びているファクター投資に関する研究。ファクター投資がアノマリーを生じ、その逆サイドの取引を行う裁定取引の制約を受けないヘッジファンドに超過リターンを提供しうるのではないか、という問いが生ずる。ファクター投資と市場の効率性に関する研究といってもよいだろう。
ファクター投資の逆サイド
ファクター投資家は、当該ファクターに関連した証券からなるポートフォリオを保有する。必然的に非ファクター投資家はその反対のポジションを取ることになるだろう。例えば、レバレッジ(借入金)を使えないがゆえに、高ベータ、高ボラティリティのポートフ... → 続きを読む
仮想通貨だけでないブロックチェーン: JAI 2018夏号(1)
2018-09-19
本号(The Journal of Alternative Investments, Summer 2018)には、7本の論文が掲載されている。1本がブロックチェーンに関するもの、3本がヘッジファンドに関するもの、3本が超過リターンを生み出す分析、予測、市場の非効率性などを扱っている。今回は、ブロックチェーンに関するものについて見てみたい。
1. ブロックチェーン:データモール、コイン・エコノミー、キーレスペイメント(“Blockchain: Data Malls, Coin Economies, and Keyless Payments” by Zura Kakushadze and Ronald P. Russo)
仮想通貨だけでないブロックチェーン・テクノロジー
ブロックチェーンは、仮想通貨に関わるテクノロジーととらえられているが、本論文では、データモール(特定のデータ市場)、... → 続きを読む
SAJバックナンバー読む: 企業成長とマクロ成長(6月) 無形資産投資(7月) 金融ジェロントロジー(8月)
2018-09-17
引き続き証券アナリストジャーナル(SAJ)のバックナンバー特集を簡単に見ておきたい。
2018年6月号「特集:企業成長とマクロ成長」
企業の利益成長とマクロ経済の成長の関係について、イノベーションと労働市場、M&A、設備投資、利益成長と投資・消費への影響など様々な視点から検討している。
人材の流動性とクロスボーダーM&A
この中で特に、①人材の流動性がイノベーションの促進につながる、②クロスボーダーM&Aの重要性、という指摘に注目したい。
ダイバーシティ(diversity; 多様性)の重要性
ダイバーシティ(多様性)がイノベーションに繋がることが生物学的にも知られている。生物多様性というものだ。同質の人間ばかりいると組織、発想が硬直化する。わたしがかつて勤めていた米系投資銀行でもダイバーシティ(“diversity”)ということを非常に重視していた。それが全社... → 続きを読む
SAJバックナンバー読む: スチュワードシップ(3月) 監査報告書の拡張(4月) 金融政策の正常化(5月)
2018-09-17
証券アナリストジャーナル(SAJ)のバックナンバー特集(Mar., Apr., May.2018)を簡単に見ておきたい。
2018年3月号「特集:スチュワードシップ・コード改訂と機関投資家」
エージェンシー問題解決策としてのスチュワードシップ・コード
日本版スチュワードシップ・コードは、2014年に、政府の成長戦略の一環として策定され、17年5月に改訂された。企業への資金の出し手である機関投資家に、その委託者である投資家に対する責任を意識させ、企業との建設的な対話を通じて企業の持続的成長を促すことで、委託者(投資家)のの中長期的リターンを向上させることを目指している、というものである。つまり、機関投資家のスチュワードシップコードは、本来投資家であれば行っているであろう企業への働きかけ、行動をエージェントたる機関投資家にうながすものである。それはエージェンシー問題の解決策としての性格を... → 続きを読む
「資産運用業界の新潮流」SAJ SEP.2018: オルタナティブ投資の重要性
2018-09-15
オルタナティブ投資の権威マーク・アンソンの基調講演
基調講演のマーク・アンソンはオルタナティブ投資分野の理論家、研究者にして実務家として著名。現在は米コモンファンド(Commonfunds)の最高投資責任者。
同氏は、現職の前はカルパース(CalPER=The California Public Employees' Retirement System: カリフォルニア州職員退職年金基金)、ブリティッシュテレコム企業年金(BTPS: British Telecom Pension Scheme)の最高投資責任者等を歴任した。
歩きながら読んだアンソンの名著 ”Handbook of Alternative Assets” (オルタナティブ資産ハンドブック)
私もかつて米系投資銀行の株式調査部から投資銀行部門に移った際、実務のかたわら同氏の名著”Handbook of Alterna... → 続きを読む
バリュー投資入門(8)バフェット2017(8)
2018-08-21
8. バークシャーのマイノリティ投資
最後にバークシャーの上場株式へのマイノリティ投資についてのバフェットの言葉です。マイノリティ投資というのは、支配権を持たない形の投資、通常は持分で20%未満の投資です。バフェット/バークシャーがどういう方針、発想で株式投資を行っているか、一般投資家には最も関心の深いところであると言えます。(青字がバフェットの言葉の中湖抄訳)
株価は長期的には企業の本源的価値を反映する=>バリュー投資の信念
ポイントは、次の3つです。第一に、バークシャーは保有する株式を事業への持分と見ているということ。要は、短期的な売買を目的に保有するのではなく事業主の視点で投資しているということです。
第二に、バークシャーは留保利益の積み上がりを配当とキャピタルゲインで得ていくということ。この背後には株価が長期的には留保利益の積み上がりを反映する、応じて上昇するという信念、... → 続きを読む
バリュー投資入門(7)バフェット2017(7)
2018-08-21
7. バークシャーの損害保険事業
今回は、バフェットによるバークシャーの損害保険事業の説明です。バークシャーがなぜ、損害保険事業に参入したのか、何にポイントを置いて運営しているのか、がよくわかります。
バフェットが重視する3つのポイント
ポイントは、次の3点であると思います。まず、第一にバフェットは保険事業を市場性有価証券への投資(これはオルタナティブ投資的な発想といえるでしょう)と見ていること、第二に、資産の流動性(これをバフェットはフロート“float”と呼んでいます)を重視していること、第3に、バフェット自身がよく理解している事業である、ということです。
流動性、換金性に優れた上場株式
これらの点は、読者の皆さんの投資にあたって参考にして欲しい点であり、私も重視している点です。特に、日本では株式投資を危険なもの、場合によってはギャンブルに近いという見方をする人が多いように... → 続きを読む
バリュー投資入門(6)バフェット2017(6)
2018-08-07
6. バークシャーの買収活動 (下)
それではバークシャーの2017年の買収活動について見ていきましょう。バフェット/バークシャーがどのような企業を好んでいるか、どのような方針で買収しているかの具体的なイメージがつかめます。(ブルーはバフェットの言葉の中湖抄訳)
SUMMING UP: バフェットの買収の特徴
簡単にまとめるとバフェット/バークシャーの買収の特徴をあげると次の5つになるでしょう。
1.業界トップ、又はトップとなりうる事業
2.多くは地味で堅実、自らが理解できる事業 (例外は3.の存在)
3.信頼できる経営陣
4.内部成長・外部成長により着実かつ持続的な利益成長が見込める事業
5.妥当な価格
バフェットは恐らく派手であっても(例えばIT企業)、価格が妥当で、信頼おける経営陣が存在すれば買収を検討するでしょう。しかし、そういった企業はほとんどの場合、5の... → 続きを読む
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