JPモルガン・チェース 3Q決算(2) 消費者・コミュニティ銀行部門

中湖 康太

インプレッション

主力業務、稼ぎ頭であるCCB

JPMCの2018-3Qを部門別に見てみよう。消費者・コミュニティ銀行業務(Consumer & Community Banking: CCB)は、純利益の半分近く(48.8%)を占める主力業務である。JPMC全社のROE14%に対して、CCBのROEは31%と高く稼ぎ頭。

純収入の成長とマージン拡大;住宅ローン純収入は減少

CCBの融資、預金とも拡大し、マージンが拡大している。ただし、住宅ローン関連の純収入は減少している。金利上昇のマイナスの面であろう。カード事業、自動車リースも増加している。クレジットコストも減少している。ただし、カード・ローン成長に伴い、貸倒引当を増やしている事業もある。メリハリを効かせている。

テクノロジーへの投資

テクノロジーへの投資、自動車リース事業の成長に伴う減価償却の増加により、非金利費用も増加しているが、純収入の伸び率以下に抑えている。

消費者・コミュニティ銀行業務(CCB) – Earnings Press Release

純収入、純利益増

純利益は60%増の41億ドル。純収入は10%増の133億ドル。このうち消費者・ビジネス銀行業務の純収入は18%の64億ドルとなった。より高い預金マージンと預り残高増による。住宅ローン純収入は16%減の130億ドル。純サービス収入の減少、ローン・スプレッドと組成マージンの減少が原因。

カード、マーチャント、自動車リース増

カード、マーチャントサービス・自動車純収入は10%増の56億ドル。マージン改善とローン成長によるカードの純利子収益の増加、自動車リースの増加、カード関連非金利収入の増加が主因。顧客獲得コストが減少する一方、交換(interchange)純収益は減少した。

非金利費用: テクノロジー、自動車リース減価償却増

非金利費用は7%増加し、70億ドルとなった。テクノロジーへの投資と自動車リースの減価償却費の増加が主因。クレジット損失引当は537百万ドル減少し、980百万ドルとなった。100百万ドルの純引当金の戻入れが主因。昨年は300百万ドルの引当てを行った。

クレジットコスト減少: 貸倒戻入れとカード引当増

住宅ローン関連の不良クレジットポートフォリオにおける250百万ドルの戻入れを含んでいる。住宅価格の改善、延滞債権が減少が主因。一方、カードのローン成長、貸倒損失率の上昇により貸倒引当150百万ドルを行った。純貸倒償却は減少した。ローン債権売却による住宅融資における回収が主因。

2018/10/23

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