米国株式市場の調整について

中湖 康太

下値余地をさぐる(推定する)

米国株式市場がインフレとFEDによる金利引上げで調整している。

本年前半は比較的好調だったが、ここへきて下げが急である。S&P500は年初の4778から22/9/26時点で3655と年初比23.5%の下落である。金利上昇を折り込み済みか、否、さらに下げ余地があるのか、あるとすればどの程度か、大まかな試算をしてみたい。

まず年初予想PERを13倍、株式リスクプレミアム6%と仮定する。米国債10年利回りは年初1.6%から、直近(22/9/26)3.9%と年初比230ベーシスポイントの上昇だ。

FEDは今後もインフレ対策を第一目標とし、さらなる引き締め(利上げ)を辞さない姿勢。目先の景気や株価への悪影響よりも、インフレ抑制、貨幣価値の維持、中長期的な経済の安定的成長を重視する構え。「初期のうちにインフレの芽を摘む」適切な判断と行動であるといってよいだろう。

つぎのような株価モデルを想定する。 P/E = 1 / ( r + p ) ここで、P=株価、E= EPS (一株当り利益)、r = 米国債10年利回り、p = リスクプレミアム。下値の目途を立てるため、とりあえずEPS(一定)、r = 米国債10年利回りrは、今後5%程度まで上昇すると仮定する。年初株価P1 、推定株価ボトムPb  とおく。

P1 / EPS =1/ ( r1 + p ) 

Pb/ EPS = 1 / ( rb + p ) 

∴ Pb / P1  = [1 / ( rb + p )] / [(1 / ( r1 + p )] ≒ 0.68

つまり、株価のボトムは年初比68%の水準、言い換えれば年初比32%下落することになる。年初S&P500は、4778なので、推定株価ボトムPb は、3249 (S&P500)程度となると推定される。

22/9/26の株価(S&P500)は、3655なので、なお10%程度の下落余地があることになる。もっとも、この極めて単純化したモデルでは、一株当り利益EPSは一定としている。リセッションによりEPSがかりに10%程度低下すると、

P1 / EPS = 1 / ( r1 + p )  

Pb’/ 0.9EPS = 1.11 [ 1 / ( rb + p ) ] 

∴ Pb’ / P1  = [ 1 / ( r1 + p )] / [ 1.11 { 1 / ( rb + p ) } ]  ≒ 0.61

企業業績(EPS)が10%下振れすると、株価のボトムは年初比61%の水準、言い換えれば年初比39%下落することになる。年初S&P500は、4778なので、推定株価ボトムPb’ は、2915 (S&P500)程度となる。

上記の仮定、モデルによれば株価はなお、下値余地があると推定される。

当モデル推定のリスクは、FEDの利上げによりインフレが早期に沈静化、米国債10年利回りの上昇が抑制され、企業業績が落ち込まず、むしろ改善する場合等である。

以上のキーファクターについて、どのような想定をするかで、今後の見通しは変化する。各投資家の予想、推定、感じ方次第である。個人的には、6:4でダウンサイドリスク大である。

以上

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Kota Nakako

22/9/27

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