‘経済・投資 Money’ カテゴリ
ロンドン 不動産調査 (3) サービトン
2025-06-09
ロンドン 不動産調査 (3) サービトン
ウィンブルドン南西8キロ程の閑静な郊外住宅地 - ウォータールー駅から約30分
サービトンは、ウィンブルドンの南西8キロ、ウィンブルドン駅からサウス・ウェスタン・レイルウェイで約10分、ロンドン・ウォータールー駅から約30分(南西20キロ)にある郊外住宅地だ。グレーター・ロンドンに属し、サリー州にある。
サービトン駅からロング・ディットンまで散策
今回は、サービトン駅からサービトン・ゴルフ・コース近くのロング・ディットンまで30分程のんびりと歩きながら街並みを楽しんだ。ウィンブルドンほどの知名度はないが、イングランドらしい閑静な郊外住宅地だ。実際に歩いた、サービトン駅から、グレンバック・ロード(Glenbuck Rd.)、ウォルポール・ロード(Walpole Rd.)、ラブレス・ロード(Lovelace Rd.)、セント・メアリーズ・ロード... → 続きを読む
ロンドン 不動産調査 (2) ウィンブルドン
2025-06-08
ロンドン 不動産調査 (2) ウィンブルドン
ロンドンの高級郊外型住宅地 - 国際的名声
ウィンブルドン・テニスが開催される、全英クラブ(オールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ)のあるウィンブルドン・パーク・エリアの不動産を見てみたい。ロンドン勤務時代(1988-1992)に3年半住んだエリアである。久しぶりに訪れたが(3月下旬)、やはり、当時の様子と大きな変化は感じられなかった。ウィンブルドン・ビレッジからチャーチロードを下っていくと、右手にウィンブルドン・パーク、左手に全英クラブが見えてくる。広々として緑豊かな英国ならではの風景である。
私たち家族は、当時、英国では一般的な半戸建て(semi-detached)の家を借りて住んでいた。しかし、この地域に最もふさわしいのは、例えば、ウィンブルドン・パークから広大なウィンブルドン・コモンへ抜けるクイーンズメア・ロ... → 続きを読む
ロンドン 不動産調査 (1) サウス・ケンジントン・エリア
2025-06-07
ロンドン 不動産調査 (1) サウス・ケンジントン・エリア
ロンドンの超高級住宅地
ロンドン地下鉄ディストリクト・ライン、サウス・ケンジントン駅、グロスター・ロード駅周辺のフラットを中心に見てゆきたい。サウス・ケンジントンは、ロンドン勤務(1988-92)の時(大分前になるが)、当初、3カ月程住んでいたところだ。チェルシー・クロイスターという短期滞在型のアパートメントに住んでいたので、ある程度土地勘、馴染みがある。今回、行ってみて(3月下旬)、当時の面影を残し、多くの滞在者で賑わっていた。
生活利便性高い
サウス・ケンジントン・エリアは、北にケンジントン宮殿、南にチェルシーを擁し、クロムウェル・ロードが東西に走り、道路交通にも優れている。東にハロッズなどがあるナイツブリッジ、ハイド・パーク・コーナーにも程近い。スーパー、レストランなどのお店もあり、主としてアパートメントハウスの建ち... → 続きを読む
ケインズの投資について-15 1937年後半の市場見通し-3 Keynes’ Investments-15 His views on the market in later 1937-3
2025-05-12
売却を進め、借入金を減らす - 37年後半
株式市場が変調を来す中、1937年後半、借入金へのカバーの増額を要求されるにいたった。ケインズは、借入金を減らすこともあり、証券の売却を進めることになる。借入残高は36年末の約30万ポンドから37年末は19万ドルへ減少する。健康を害したこともあるのだろう、その後、ケインズは、借入金を基本的に順次に減らしてゆき、借入残高は、40年末には6万ポンド、逝去する46年には3.8万ポンドとなった。
38年11月16日に、ケインズは、自ら役員を務めるナショナル・ミューチュアルのレックネル(G.H.Recknell)に次のように述べている。
勿論、売るべき時は今年の春でした。しかし、それは結果論であり、察知することは難しかったといえます。8月までには市場の下落基調が明らかになってきましたが、なお、売却は遅きに失するということはありませんでした。しかし、1... → 続きを読む
ケインズの投資について-14 1937年後半の市場見通し-2 Keynes’ Investments-14 His views on the market in later 1937-2
2025-05-11
実体経済を写す以上に下落した市場価格 - ケインズの見方
1937年の景気後退による市場価格の下落についての見方を示している。「実体経済を写す以上に下落した市場価格」という見方はバリュー投資家としてのものである。そして、下落のゆえに、「イールドは保険に入っているに等しい」という趣旨を述べている。そして、金の非不胎化による、金融緩和、利下げを予想している。
バリュー投資家の本領
経済学者であると同時に、バリュー投資家、コントラリアンである、ケインズの資質、本領をフルに発揮しているといえるだろう。
余談だが、とはいえ市場価格の下落は、ケインズの心臓に良い影響を与えてはいないだろう。
[F.C.スコットへの手紙(37.9.4)の続き]
市場が過熱した状況で、流動性選好が高まるのは、市場が楽観的すぎるという警戒からです。但し、市場がおかしやすい間違いは、過度に悲観論に陥り、実体を反映す... → 続きを読む
ケインズの投資について-14 1937年後半の市場見通し Keynes’ Investments-14 His views on the market in later 1937
2025-05-10
1937年後半の市場見通し
ケインズは、その2日後、F.C.スコット宛に自らの見解を療養中のウェールズ、ルーチンから送っている。(ケインズは、36年夏より体調が優れず、37年半ばに心臓発作で倒れた。46年に同じく心臓発作で亡くなるまで、ケインズは心臓病に悩まされた。)
流動性選好、リスク回避の傾向を強める市場
F.C.スコットへの手紙 (1937年9月4日)
親愛なるスコット、
順調にいけば今月末にここを発つ予定です。10月末の役員会に出席するつもりです。ナショナル・ミューチュアルの役員会が水曜にあるので、木曜であれば良いな、と思っています。
とりあえず、見通しを大幅に変更しているので、その内容を要約してお伝えしたいと思います。
私は深刻なりセッションにはならないだろうと予測しています。米国では、今秋か来春には景気が回復することが期待されます。英米において、モーメンタムを欠く... → 続きを読む
ケインズの投資について-13 コモディティー投資 3 Keynes’ Investments-13 Investment in Commodities
2025-05-07
試練の年 - 1937年後半
1937年後半は、ケインズにとっては試練の時となった。ケインズは引き続き、強気の立場をとったが、商品相場での損失額は膨らんだ。7月半ばにR.F.カーンに次のように述べている。
現状売却することにあまり前向きではありません。もっとも米国のポジションを少々減らす機会がおとずれるかもしれないと期待しています。(ウォール街の連中のように下落する市場で利食っていくことができれば。) それが彼らがリッチである理由ですから。
ベアマーケットは通常は好機 - しかし・・・
8月下旬になってケインズはより悲観的、手仕舞いの気分になり、カーンに次のように言う。
これまで、リセションの時には、辛抱強く待つことにしていました。カバーポジションを取ってさえいれば、後は待つのみ、と考えてきました。カバーポジションが安全と思えるなら、何ら煩うことはない。しかし、今回については、そ... → 続きを読む
ケインズの投資について-12 コモディティー投資 2 Keynes’ Investments-11 Investment in Commodities
2025-05-03
コモディティー投資 その2
株の次に、商品で儲けたケインズ
ケインズが、生涯で一番儲けたのは証券投資である。それは生涯投資所得の約86%に及ぶ。 次に設けたのがコモディティ投資であり、それは生涯投資所得の約9%になる。
特に、1936年は好調でコモディティーで、生涯最高の3万6000ポンド稼いでいる(所得ベース)。37年は8000ポンド程の損失だ。
商品相場(ラード)の読みの一端
ケインズは、前述の手紙の約4か月後の10月26日、再びR.F.カーンに次の書簡を送っている。ケインズのラード(豚油)、ホッグ、ライトホッグ(豚)の需給、相場の読みの一端をうかがうことができる。
R.F.カーンへの手紙(1937年10月26日)
前年1936年10月に予想したことが今起きています。但し、供給不足は、ラードが他の豚製品に比べて割安なので、その生産を可能な限り抑えているためです。生産は、通... → 続きを読む
ケインズの投資について-11 コモディティー投資-1 Keynes’ Investments-10 Investment in Commodities
2025-05-01
コモディティー投資-1
一般理論の利子論、貨幣論の形成に寄与したコモディティーへの投資
ケインズはコモディティーへの投資も積極的に行った。コモディティーへの投機・投資の経験、及びそこから得られた洞察は、ケインズの一般理論に見られる理論形成に多大な影響を与えていると思われる。それは何よりも、貨幣の特性、つまり、一般理論の中核をなす、「流動性プレミアム」のクローズアップにある。そして、その流動性プレミアム(liquidity premium)は、貨幣の歴史の初期において貨幣の役割を果たしたコモディティーとの比較によって、浮き彫りにされているのである。
ケインズの詳細なコモディティー・リサーチ
ケインズは、コモディティーの需給動向に関する詳細なレポートを、1923から30年にかけて作成している。需要と供給は経済学のエッセンス中のエッセンスである。その意味で、ケインズが、他の財と異なり、品... → 続きを読む
ケインズの投資について-10 米国証券投資 Keynes’ Investments-10 Investment in US Securities
2025-04-18
36-37年 生涯最高の稼ぎ
米国経済の回復
1936年、37年の2年は、前述したようにケインズの生涯でもっとも証券投資で儲けた年だ。一般理論の出版が1936年なので、理論と実践が結実した象徴的な年となった。勿論、良好なパフォーマンスの背景には世界経済の回復に伴う株式市場のリカバリーがある。
株式、商品で大きな利益 - 36年
36年は、為替・商品、証券投資共に好調で、為替で£12,362、商品で£36,009の利益を計上。証券投資は、ポンド証券で£30,169、ドル証券で$92,432(≒£18,560)の売却益を上げる。配当所得も£11,795、$19,219(≒£3,859)に及んだ。商品で£36,009と大きな利益を上げる。合計で約£113,535になる(£/$=4.98で換算)。“Currency converter 1270–2017” (nationalarchi... → 続きを読む
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