ケインズの投資-31 美人投票説とバリュー投資 Keynes’ Investments-31 Keynes’ Beauty Contest Theory and Value Investment

中湖 康太

ケインズの美人投票説とバリュー投資の確立

ケインズの経済学と投資活動

投資家としてのケインズは、個人での投資の他に、母校キングスカレッジ、シティではナショナル・ミューチュアル、プロビィンシャルという保険会社の資産運用に役員としてかかわっていた。ケインズの理論的、論理的かつ実践的な経済学には、まぎれもなくケインズの投資家としての経験が反映されていた。

ウォールストリートの美人投票説

ケインズ一般理論における資本市場観、特に株式市場観には、市場の非効率性に関連する言説がある。美人投票説がその典型だが、ウォールストリート、米国株式市場のあり方に対する批判も手厳しい。ケインズ(1983-1946)が活躍したのは20世紀前半だ。

ケインズの「一般理論」とベンジャミン・グラハムの「証券分析」

米国でバリュー投資のバイブルといわれるベンジャミン・グラハムの「証券分析」が出版されたのは1934年である。ケインズの一般理論が出版されたのは1936年(有名な序文は1935年12月13日付)とほぼ同時期である。ケインズが指摘するように、当時、プロフェッショナルな投資家の間で、株式投資のあり方、改善の必要性、つまり市場の非効率性は、強く意識されていたということだろう。そして、その後、ウォーレン・バフェットに代表されるバリュー投資も確立されていくのである。ベンジャミン・グラハムが一般投資家向けとして著した「賢明なる投資家」が出版されたのは1949年だった。

一般理論と証券投資

以前にも触れたが、ケインズは生涯最高の投資所得を1936年と1937年にあげた。ケインズの経済理論の完成と、投資収益の最高が同時期だったことは象徴的である。

By Kota Nakako

2025/08/22

 

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