‘経済学古典を読む Reading Economics Classics’ カテゴリ

Notes on Ricardo’s Principles (56) 賃金9 Wages 9

2018-03-30
ポイント リカードは貨幣賃金と穀物賃金の違い、実質的購買力を数値例を使いながら説明する。貨幣賃金が上昇しても労働者の穀物賃金は変わらないかむしろ下落する。実質賃金は労働の限界生産力に決定されるからである(需要サイド)。実質賃金は、限界生産力逓減の法則によって低下していく傾向を持つ。ここでも、(農業経済における)可変的な資本、労働に対して土地の相対的稀少性が仮定されているといえるだろう。 Here, Ricardo explains the nature of and the difference between money wages and corn wages or real purchasing power, using numerical examples. Even if money wages increase, laborers’ corn wages would not...
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Notes on Ricardo’s Principles (55) 賃金8 Wages 8

2018-03-27
リカードにおける分配論は土地の相対的稀少性を前提にしている。つまり、土地は資本、労働に対して相対的に稀少性を持つゆえに、資本蓄積、労働人口増加に伴って土地への配分が増大する。また等級の高い土地は、より低い等級の土地が耕作されるにしたがって差額地代が発生しより高い地代を獲得することになる。等級の高い土地価格はますます上昇する。余談だが、リカードは当時の欧州の封建的な土地所有制度、貴族による土地所有を批判的に見ていたのだろうか。リカードは労働者階級に同情的であったのだろうか。エンタープライズ(企業家精神)をどう見ていたのだろうか。 Ricardo's theory on the distribution of national dividend depends primarily on the scarcity of land, in particular, that of superior...
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Notes on Ricardo’s Principles (54) 賃金7 Wages 7

2018-03-25
ポイント: ① 生存可能最低水準賃金(the means of subsistence)の説明。労働供給は賃金が生存可能最低水準になるまで続き、実質賃金は生存可能最低水準で均衡するとするリカード経済学の考え方。そこでの労働者階級の状態が説明される。リカードを代表とする古典派経済学が「陰鬱な科学」(dismal science)と呼ばれたゆえんである。Ricardo's iron law of wages: the real wage = the means of subsistence. ② 賃金=生存可能最低水準というのは今日では現実的ではないが、労働への需要と供給、それに関連して人口動向との関連で重要な示唆がある。ケインズは、雇用に関する古典派の公準として、(1) 労働需要について、実質賃金=労働の限界生産力、(2) 労働供給について、実質賃金=労働の限界不効用とした。In tod...
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Notes on Ricardo’s Principles (53) 賃金6 Wages 6

2018-03-22
ポイント ① 超過人口がもたらす生存可能最低賃金に依存するリカードの労働供給論。効用理論を持たないリカード経済学の限界でもある。 The paragraphes below are, in essence, about Ricardo's labor supply theory. The lack of utility theory is his limit.  ② 生存可能最低賃金へのさらなる下方圧力 Population presses against the means of subsistence. ③    人口増加を上回る生産力の増大のため規律ある政府、教育の重要性 To be made happier they require only to be better governed and instructed, as the augmentation of capita...
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Notes on Ricardo’s Principles (52) 賃金5

2018-02-17
ポイント Key Points 1)    工業製品と農産物の相対価値の変化。前者は減少し、後者が増加する。Relative value between manufactured commodities and raw produce. The former relatively decreases while the later increases. 2)    資本蓄積は速い速度で進むが、労働の供給はそれほど速く進まない。労働需要が労働供給を上回るため、(貨幣価値を一定と仮定すると)賃金は上昇する。Accumulation of capital progresses more rapidly than labor supply. As demand for labor outpaces labor supply, wages tend to rise. 3)    土地の供給には...
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Notes on Ricardo’s Principles (51) 賃金4

2017-01-21
Notes on Ricardo’s Principles (51) On Wages 4労働と資本の相対価格リカードは労働の市場価格は、資本の増加により自然価格を上回る傾向にあるものの、いずれは自然価格に収束すると述べる。資本と労働の相対価格の違いによって収束(調整)の速度が異なることが述べられる。すなわち労働の相対価格が高い場合は、労働供給増(人口増とほぼ同義に扱っている)を促すが、低い場合は人口増を刺激しないためである。効用概念の萌芽また、より重要なことは、リカードは労働の自然価格は、習慣、風習、場所、時間によって異なることを述べていることである。リカードは生産については限界生産力の概念を軸に理論を展開するのに対して、需要については限界効用の概念を展開していない。しかし、習慣、風習、場所、時間によって労働者の満足度がことなると指摘していることは、需要が消費者の満足度(効用)に依存して...
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Notes on Ricardo’s Principles (50) 賃金3

2017-01-20
Notes on Ricardo’s Principles (50) On Wages 3資本の定義リカードは、資本の定義を述べる。リカードによれば、資本とは、土地と労働以外の生産要素である。つまり、生産にあたって(土地と)労働共に投入される食料、衣類、道具、機械、原材料その他必要なものである。これは、経済学を理解する上で重要な考え方であるといってよいであろう。収穫逓減(限界生産力逓減)の法則リカードは収穫逓減(限界生産力逓減)の法則について述べる。この法則は、これまでも議論の展開で度々登場している。リカード経済学の基調をなす考え方であり、経済学の基本原理の一つと言ってよい。それは、端的に言えば、他の条件を一定として、ある生産物の生産量を追加的に増やす場合に、可変的な生産要素の追加的投入量は逓増する、というものである。価値の定義としての労働ただし、リカードは、価値は、あくまで(相対的な)労...
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Notes on Ricardo’s Principles (49) 賃金2

2017-01-18
Notes on Ricardo’s Principles (49) On Wages 2リカードは、賃金が自然価格に収束する傾向をもつことを説明する。賃金が自然価格を下回る時、労働者は生活に必要な食料、必需品、便利品を購入できず困窮することになる。リカードのこのような表現により、経済学は「陰鬱な科学」と呼ばれるにいたったのだろう。しかし、留意すべきは、リカードはこのような状況は長続きせず、自然価格に収束することを説いているのである。また、より重要なことは、リカードは社会の進歩に伴って、資本が定常的に増加するような状況では、労働需要が増加し、労働の市場価格は、永続的に自然価格を上回るかもしれない、と述べていることである。ここで、リカードは、資本の増加が経済成長の原動力であると説いていると解することが可能であろう。(訳)労働の市場価格は、労働に対する自然な需給の作用によって、実際に労働に対し...
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Notes on Ricardo’s Principles (48) 賃金1

2017-01-17
Notes on Ricardo’s Principles (48) On Wages 1リカードの賃金論は、最も批判や議論の多いのテーマの一つといってよいだろう。「賃金鉄則」は、リカードを代表とする古典派経済学の特徴であると共に、その理論の限界である、と捉えられることが多いからである。しかしながら、リカードの賃金論をいわゆる「賃金鉄則」(The Iron Law of Wages; 賃金は生存可能な最低水準の食料、必需品の購買力レベルに決定される)と捉える解釈は、リカード経済学に対する最大の誤解の一つであるといってよいであろう。まず、最初のパラグラフで、リカードは、労働の自然価格において労働者は「増加もせず、減少もしない」(without either increase or diminution)と述べる。これは需給が均衡した状態である。そして、リカードは、「社会の進歩に伴って、労働の...
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Notes on Ricardo’s Principles (47) 自然価格と市場価格 4

2017-01-15
Notes on Ricardo’s Principles (47) On Natural and Market Price 4競争の結果としての自然価格リカードは、より有利な投資機会を求めて資本が効率的に配分される競争の結果として成立する、商品の本来持つ交換価値、購買力、商品の自然価格について述べる。商品の自然価格とは、商品の本源的価値、今日の経済学でいう「均衡価格」であるといってよいであろう。リカードは、商品の価格が偶然、又は一時的な理由によって、自然価格から乖離することがあることをよく認識すべきである、としている。しかし、明らかにするのは、自然価格を支配する法則、メカニズムであることを述べる。市場価格は、自然価格から乖離しうる。しかし、競争過程を通じて、自然価格に収束するという視点を示唆している。(訳)商品の市場価格が、自然価格よりも著しく高く又は低く留まることはないのである。それは...
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