PE投資(SAJ バックナンバーOct. 2018を読む)

中湖 康太

証券アナリストジャーナルのバックナンバー2018年10月号に特集「プライベートエクイティ(PE)投資-日本における課題整理と解決に向けて-」が掲載されている。

機関投資家が注目するPE投資

PE投資を主として機関投資家の視点から考えるという内容である。

PEを、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)を代表に、日本の機関投資家が投資対象としてとらえるようになってきたことは喜ばしいことだと思う。

パフォーマンスの向上と分散投資

PE投資が世界の運用資産残高の約5%に達し、日本の機関投資家も、バフォーマンスの向上、分散投資の視点から重要な投資対象として無視できなくなっている状況にいたっているということであろう。

プライベートエクイティ(PE)の本質

しかし、プライベートエクイティ(PE)というものがそもそもどういう発想ででてきたかを考えることが重要だ。

PEとはその名が示す通り、プライベートなリスクマネーである、ということである。

つまり、PEといったとき、その金は、その出し手が、自己のリスクで自由に投資する性質のものである。

プライベートエクイティといっても、ベンチャーキャピタル、LBO、不良債権投資など様々な種類がある。もともとは富裕者層の自由な資金である

パブリックになったプライベート?

PEもKKRやカーライルのように、規模が大きくなり、上場するにいたってその資金がプライベートのものから、パブリック(公公開性の意味;公的という意味ではない)なものになっている。

ここにPEにとってのある種の矛盾がある。機関投資家は、アセットオーナーではあるが、基本的には、様々な投資家、財産の委託者、年金加入者等から資金を預かって運用している。

つまり、機関投資家は、最終的な資金の出し手、個々の投資家(投資信託等)、財産の委託者(信託等)、年金加入者などに対して説明責任がある。

自由奔放さとリスクテークの本質

本来のプライベートエクイティの資金の出し手は自らのリスクで投資する、つまり自分がそのリスクに納得すれば説明責任は第三者にはない、極めて自由度の高い資金である、ということである。

前述したように、日本の投資家がPE投資を真剣に考えるようになったことは大変好ましいことだと思っている。

しかし、プライベートエクイティには、このような自由奔放さ、リスクテークの本質があることをよく理解した上で、投資することが重要であろう。

PEの本質を知り、まずは実行

機関投資家には、最終的な投資家に説明責任がある以上、説明責任や理論武装などが必要になるかもしれない。そのために形式的、テクニカルな議論にこだわりすぎれば、PE投資の魅力、効果を引き出すことはできないのではないだろうか。

PEとうものはそういうものだということを知り、まずは実行することが重要であろう。

Kota Nakako

5/9/2019

 

 

 

 

 

 

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