AT A GLANCE – 株価指数

中湖 康太

AT A GLANCE: 特集・株価指数 (証券アナリストジャーナル APR.2021) 

東証株価指数(TOPIX)の改革が予定されているという(2022年4月)。

投資家として、TOPIXは、日本の株式市場のベンチマークとして参考にしている。これからも連続性の観点からそれは変わらないだろう。

TOPIXは新聞テレビなどメディアで一般的な日経平均(225)よりも、市場全体(東証1部)の時価加重平均という点で優れている。日経平均(日経225)は価格加重であるため市場全体の動きを必ずしも表していない。それは実感として感じることである。したがって、ベンチマークとしても、投資対象としても使っていない。一般へのわかりやすさ、通りの良さから、メディアのニュースでは使われている、ということになる。ベンチマーク、リスク分散、パッシブ運用の視点からも、TOPIXはベストでないにしてもベターである。

TOPIXは東証1部だけが対象になっているという点は、市場全体の指数としては理論的にも実務的にも問題だろう。日本市場のベンチマーク、リスク分散、パッシブ運用の観点から、2部、マザーズ、JASDAQを包むことが望ましい。ただし、市場別の細分化された指数も有用であろう。投資対象としてのTOPIXは、日本株へのエクスポージャーを表すことが期待されている。

ベンチマーク、リスク分散、パッシブ運用の投資対象としては、MSCI World、MSCI ACWIがより重要であると考えている。

TOPIXは、パッシブ-アクティブ運用に有益である可能性がある。つまり、パッシブ運用の観点からも、日本市場が株価評価、為替の観点から割安であると考えられるとき、アクティブ運用の観点から、TOPIXへの投資をする、というものである。

特集でも述べられているが、巨大機関投資によるパッシブ運用は、理論と実践の観点から注目すべきテーマだ。理論的には、完全競争市場、つまり個々の市場参加者は、それぞれが非常に小さく、価格に影響を与えられない、というのが前提だ。しかし、巨大機関投資家の行動は、大きなマーケットインパクトをもつ。自らが買うから上がる、自らが売るから下がる、というジレンマをかかえている。流動性加重指数は、機関投資家の立場から求められているのだろう。

個人投資家のアクティブ運用の観点からは興味深いポイントだ。つまり、個人投資家にのみゆるされたアクティブ運用機会、差別化要因というようなものが存在しうる。

投資家として、例えばJ-REITの運用に関して感じてきたことだ。時価総額の小さい、流動性の低いJ-REITが相対的に割安に評価されやすい傾向にある、といえるだろう。流動性プレミアム、ディスカウントの観点から適正とする見方と市場の非効率性、投資(裁定)機会とする見方があるだろう。

理論と現実・実践の乖離というのは何事にもあることだ。この乖離を解消させる努力は常に必要だ。経済的・社会的な公正・厚生を高めるからだ。しかし、乖離は多かれ、少なかれ存在しつづけるだろう。そこに投資機会が生じる。それが現実のマーケットというものだ。

中湖 康太

2021/4/23

 

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