中国株式指数先物市場の非効率性とアブノーマルリターン: JAI 2018夏(7)

中湖 康太

非効率的市場からアブノーマルリターンを得る: 中国株式指数先物市場の検証(“Do Implicit Phenomena Matter? Evidence from China Stock Index Futures”) by Min-Yuh Day, Paoyu Huang, Yensen Ni, and Yuhsin Chen

中国株式指数先物市場の非効率性

中国株式指数先物市場における非効率性を検証している。本論文の研究者は、CSI300先物指数は5分間連続して上昇または下落することを観察している。投資家はこのような上昇、下落が生じたときに利益を上げているのであろうか。

マニピュレーションとアブノーマルリターン

この現象は、CSI300指数の上昇または下落に先立って生じていることを明らかにしている。これを利用すればアブノーマルリターンを獲得することが可能になるだろう。同研究者はあるタイプの投資家たちによるマニピュレーション(操作)の可能性があることを指摘している。

以上が、同論文のポイントであるといってよいであろう。

効率的市場における情報の完全性

本論文などを読むとやはり米国株式市場を筆頭に、先進国主要株式市場ははるかに効率的であると感じる。ファイナンス理論における効率的市場は、経済学における完全競争市場と同義の概念であろう、ということは以前述べたとおりである。

市場参加者はプライス・テーカー

つまり、市場性有価証券に関する情報の完全性があり、市場参加者は、売り手であれ、買い手であれ、個々には価格に影響を及ぼしえずプライス・テーカーとして行動する、ということであると言ってよいだろう。

考えてみれば、ある証券について、情報が十分に開示されており、さらにそれが信頼にたるものである、ということを前提にして取引できること自体が貴重であるとあらためて思うのである。

試練を経た米国市場

そもそも投資対象となる証券について情報開示が十分になされていない、価格が操作されている、となれば安心して投資活動はできない。米国の株式市場も様々な試練を経て、今日のような高度に効率的な市場が形成されるようになったのである。それでも時には、ワールドコム、エンロンやサブプライム金融商品におけるような不正会計や不適切格付けなどの問題が生ずるのである。

以上

2018/9/29

 

 

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