英語セミナー(2) シットコム(Sitcom)

シットコム(Sitcom: Situation Comedy)

アメリカやイギリスで、毎シーズン、毎年くりかえし制作、放送されるテレビドラマに通称シットコムとよばれるコメディがあります。シットコムはシチュエーション・コメディ(Situation Comedy)の略で、特にドラマティックなストーリーの展開を売りにするのではなく、何でもない日常の生活、出来事を笑いのネタにするものです。

ユーモアや風刺の「笑い」を翻訳して吹き替えで伝えるのは難しいため、シットコムが日本で放映されることは少ないと思いますが、比較的最近で「フレンズ」(FRIENDS)、かつての「奥様は魔女」(Bewitched)などが有名なところで、吹き替え版のDVDも出ています。

英語には、ユーモア、ジョーク、コミック、風刺(satire)の伝統があります。生活、人生には元来、楽しいこともありますが、つらいこと、悲しいこと、苦しいことがあります。これらをすべて笑いの種にしてしまうのです。

勿論、日本でもテレビ番組は笑いが満ちています。しかし、テレビドラマとしてのコメディは少ない、そのかわりバラエティ番組が笑いを視聴者に提供しているように思います。

ところが、英米ではシットコムがテレビドラマのメインストリームの1つであると言ってよいでしょう。シットコムでは、シチュエーションの展開の中で、笑いをとる場面で、観客の声として笑い声が流れます。これは制作者側から視聴者へ、ここが笑いの場面ですよ、というシグナルを送るのです。

ビジネス英語というのは、客観的事実と数字(Facts & Figures)が根本ですが、笑いの英語は生活、文化、習慣、個々の個性が根本にあり、はるかに微妙(Subtle)なものです。「笑い」を理解し、相手を「笑わす」ことができるというのは、すごいことだと思います。

筆者の経験から、投資銀行の世界でも、頭脳明晰、真面目で、流暢な英語を使える人は多くいました。しかし、ビジネスの世界でも、本当の大物、成功者は、流暢な英語をあやつるのではなく、英語で笑わすことができる人物であるように思います(数字をあげることは言わずもがなですが)。

フレンズ (“FRIENDS”)

英語で「笑い」を理解するアプローチとして、シットコムにチャレンジすることをおすすめします。AmazonなどでSitcomを検索すると実にたくさんの作品があることがわかります。その中で、都会的で洗練された笑い、英語学習の観点からおすすめなのが、ワーナー・ブラザーズ(Warner Bros.)製作の「フレンズ」(“FRIENDS”)です。アメリカでは、1994年から2004年にかけて10シーズンにわたって放映されました。DVDの完全版(Complete Box Set)が販売されています。

吹き替え、日本語字幕から始める場合は、その分、価格が高くなりますが、日本で販売されているものを購入する必要があります。英語字幕だけでよければ、Amazon等で、かなり割安で購入することができます。フリーリージョンのDVDプレーヤーを使えば視聴できます。笑いの場面で、必要に応じて、リモコンで英語字幕をチェックすることができます。

但し、一字一句英語の文字を追うことはやめましょう。コミュニケーションというものは、言葉、文字だけではない、ということです。シットコムというように、場面、状況、人物の表情、声、つまり、映像、音に注視する、楽しむことが大切です。英語学習というと、往往にして字句にとらわれがちです。まず、シチュエーションを把握する、表情、声音に注目する、そして次に言葉に移る、というわけです。

簡単にフレンズの6人を紹介すると、

ロス(Ross)は、古生物学者で、コミカルで憎めないが、ちょっと可愛い女性を見るとすぐ口説いてしまうという性質。最初の結構相手が実はレズビアンだった。

レイチェル(Rache)は、医者の娘、浪費家でお嬢様育ち。モニカと高校時代の親友。親の進める結婚から逃亡し、親元を離れ、フレンズのたまりであるカフェ”Central Perk”のウェイトレスの仕事を始める。その後ファッション業界に転身。ちょっと良い男性を見るとすぐ恋してしまう。ロスと似た者同士といえる。ロスとレイチェルの関係は、フレンズのメインストーリーの1つ。

モニカ(Monica)は、ロスの妹でレストランのシェフ志望、後に有名レストランのシェフになる。娘の頃は太っていた。ファーザー・コンプレックスを持ち育ちは良いが、せっかちで早口。シリーズ後半でチェンドラーと結婚する。

チャンドラー(Chandler)はジョークと風刺(Satire)をとばすことを信条としている。たまに、そのジョークが空回りするのですが、それがまたコミカル。[フレンズでジョークをマスターする場合、チャンドラーにフォーカスすべきと言えるかもしれません]

ジョーイ(Joey)は、イタリア系アメリカ人で売れない俳優。筆者が好きな登場人物。ロスやチャンドラーほど知的ではないが、素朴でユーモアのあるキャラクター。チャンドラーとルームシェアをして、その男同志の友情はコミカルであり、心温まるもの。

フィービ―(Phoebe)は、マッサージ師で、モニカの元ルームメイト。占い師のようでもある。明るいが風変りな女性。父親は小さい頃に蒸発、麻薬売人だった育ての母親は自殺、育ての父親は服役中、産みの母親は不動産業者。一卵性の双子の姉がいる。

いくつかの場面の紹介

ファースト・シーズンのエピソード1から、いくつか笑いの場面を紹介しましょう(言葉だけで笑いを理解することはできませんが)。

Monica: Okay, everybody, relax. This is not even a date. It’s just two people going out to dinner and having no sex. (モニカ: 深刻にならないで。それはデートとも言えないわ。ただ二人の人間がディナーを一緒にした、でもセックスはしなかったというわけ)
Chandler: Sounds like a date to me. (チャンドラー: まるで僕のデートのようだ) (笑) 

Ross: I’ll be fine. I hope she’ll be happy. (ロス: 彼女が幸せであることを願ってる)
Phoebe: No you don’t. (フィービー: 嘘よ)
Ross: No, I don’t. To hell with her. She left me! (ロス: 確かに。地獄に落ちろだ。僕を捨てたわけだから)
Joey: You never know she was a lesbian? (ジョーイ: 本当に彼女がレズビアンだったのを知らなかったのかい?)
Ross: No, okay? Why does everyone keep fixating on that? She didn’t know. How should I know? (ロス: 知るわけないだろう。何故みんなそこにこだわるんだ。彼女自身が知らなかったのに、僕が分かるわけないだろう)
Chandler: Sometimes I wish I was a lesbian. Did I said that out loud? (チャンドラー: 時々、自分がレズビアンだったらよかったと思うよ。ちょっと待て、そんなこと自分はまさか大声で言ったんじゃないだろうな?)
Ross: I told Mom and Dad last night. They seemed to take it pretty well. (ロス: 僕は、両親に昨晩そのことを話した。両親はそのことを良く理解してくれたと思う)
Monica: Oh, really? So the hysterical phone call from a woman sobbing at 3:00am.
“I’ll never have ground children!” was what? A wrong number? (モニカ: そんなことあるわけないでしょ。あるヒステリックな女性(ロス、モニカの母親)が午前3時に電話かけてきて「ああ、孫を持つことができなくなった」と呻いていたわよ。間違い電話だったのかしら?) 

以上

 

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