悲観不要の日本の人口減少 Don’t worry about population decline in Japan

中湖 康太

人口減少は合理的

日本の人口が昨年、前年比0.21%減少して1億2644万人になったと伝えられた。日本の人口減少については悲観論が多い。それは主として、経済成長、社会保障費負担、年金財政の問題から指摘されることが多いと思う。

わたしは、日本の人口減少は経済合理性にかなった現象であり、悲観すべきではないと思っている。

日本のGDP=日本株ではない

まず、第一に、投資家として述べておきたいのは、日本の人口減少、GDPの伸び悩みがすなわち、日本株がダメだという理由にはならないことである。日本の企業の海外売上比率は6割近くなっている。つまり、日本経済イコール日本株ではない。

国土に比して人口が多い日本

第二に、日本の人口減少は、労働市場の競争メカニズムが適正に機能していることによって生じているということである。日本は国土に比して人口が多い。例えばドイツとイギリスと比べてみる。日本の国土面積は378千㎢で、ドイツの357千㎢に近い。イギリスは244千㎢で日本より35%程小さい。人口密度(人/㎢)は、日本349.29、ドイツ231.31、イギリス264.94で、ドイツの1.5倍強、イギリスの1.3倍強である(出所: UN 2013年)。一人当たり名目GDP(US$、出所: IMF 2018年)は、日本39,305.78、ドイツ48,264.01、イギリス42,558.0で、ドイツより18.6%、イギリスより7.6%少ない。

労働市場のメカニズム

労働市場の均衡条件は、労働の限界生産力=実質賃金(需要サイド)、労働の限界不効用=実質賃金(供給サイド)である。日本の賃金が国際的に見て低いと言われるのは、労働の限界生産力が相対的に低いからである。一方、労働の供給サイド、働き手からすれば市場の実質賃金ではこれ以上、労働を供給する気にはなれない水準だということになる。これが労働人口、ひいては人口減少の真の原因である。

他の条件を一定とすると、ある水準を超えると、労働人口が増えるほど、収穫逓減の法則にしたがって、労働の限界生産力が逓減していく。

賃金を高めろ、といっても労働の需要サイド、つまり企業からすれば、経済合理性に適わない賃金は払えない。そんなことをしたら市場で淘汰されるだろう。

移民の自由化は必須

人口減少は、労働供給量を減少させることによって、実質賃金を上昇させようとする作用である。ただし、誤解してはいけないのは、だからといって、移民を抑制してはいけない、ということだ。以上の説明では、マクロ的に賃金と労働人口(供給)の関係を述べたが、市場では様々な労働が必要だ。経済の活性化にとって大切なのは、労働移動を自由化し、労働市場の競争メカニズムを十分にはたらかさせることである。

Kota Nakako
2019/4/12

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