個別株散策: ソフトバンクグループの魅力と課題

中湖 康太

グローバルなネット企業としての投資対象

日本の株式市場で、インターネット企業としてグローバル市場で戦える企業、投資対象があるだろうか。GoogleAmazonAppleAlibabaなどに指摘する規模、スケール、市場認知度において。となるとやはりソフトバンクグループ(以下SBG)がでてくるであろう。

SBGの株価評価

SBGの株価(2018/2/22)8775円、時価総額9.6兆円、PBR1.74倍、Total Debt/Equity(有利子負債純資産倍率:以下D/Eと記す)240%ROE33.59%である。(情報ソース: YAHOO! FINANCE、以下同様)

これに対して

Alphabet(Google)の株価1117ドル、時価総額777十億ドル(77.7兆円;以下1US$=100円で換算)PBR5.0倍、D/E2%ROE8.69%

Amazonの株価は1493ドル、時価総額723十億ドル(72.3兆円)PBR26.0倍、D/E159%ROE12.91%

Appleの株価173ドル、時価総額881十億ドル(88.1兆円)PBR6.3倍、D/E87%ROE37.07%

Alibabaの株価189ドル、時価総額487十億ドル(48.7兆円)PBR8.8倍、D/E30%、ROE17.63%

SBGの時価総額は、Alphabet(Google)AmazonApple11%13%程に過ぎず、Alibaba20%弱である。PBRにおいては、4(AlphabetAmazonAppleAlibaba)平均11.5倍の15%の1.74倍に過ぎない。一方で、ROE33%と、4社平均19.0%1.7倍と高い。つまり、PBRROEから見るとSBGはかなり割安に見える。

なぜか?3つの理由が考えられる。

割安3つの理由

財務体質の問題

第1に財務体質の問題。 SBGD/E240%と、Amazon159%1.5倍ある。一方、Alphabetは有利子負債は無く、AppleAlibabaもかなり低い。D/Eの高さ、財務体質の弱さが、株価の低評価、PBR85%のディスカウントに繋がっていると推定される。

持株会社ディスカウント

第2の理由。27日の第3四半期決算説明会で、孫正義社長は、SBGを戦略的持株会社と呼んだ。そしてその特徴として群戦略をあげた。それは、個々の市場でトップクラスの地位にある多くの企業のコントローリングステーク(支配権)を持つのでなく2030%の持ち分を持つもの。これは、SBブランドにこだわらず、それぞれの企業の独立性を尊重することが、群企業の競争力、成長に繋がるとした。

そして、孫社長は、戦略的持株会社、群戦略で、IT企業の30年限界説を打破し、300年成長する企業になることができる、孫正義自身がボトルネックにならないようになると語った。2月7日の決算説明会で、1999年に自らが群戦略を説明するビデオを披露し、SBGが従来より、成り行きでなく、目的として追求してきたのが群戦略による持株会社経営であると説明した。

2の理由は、持株会社ディスカウントである。株式市場は、特に支配権を持たない持株会社をディスカウントして(割安に)評価する傾向がある。グループ内の資金配分のコントロールをしにくいからである。

孫正義リスク

第3の理由は何か。孫社長は、群戦略による持株会社経営が、自らの寿命を超え300年成長する企業となると説明したことは上述の通りである。しかし、この独自の群企業群を束ねる戦略的な持株会社を経営できるのは孫正義以外にいないのではないか、ということ。これが第3の理由である。

SBGに変わる投資対象があるか?

以上のディスカウントの理由、懸念を踏まえて、日本の株式市場にグローバルなフィールドでインターネット企業として事業、投資活動ができる会社が他にあるだろうか、 SBGに変わる投資対象があるか?とあらためて考えてみる。代替的な投資対象はなかなか見つからないと言ってよいだろう。SprintARMなどの超大型買収、SoftBank Vision Fundの立上げに見るように通常の尺度では測れない、スケールの大きなユニークな企業であることは確かであろう。

以上

Kota Nakako

Feb. 22, 2018

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