テクニカル分析は超過リターンを獲得しうるか: アイスランドの実証: JAI 2018 夏号(6)

中湖 康太

リターンの予測可能性と効率的市場仮説: アイスランドからの実証(“Return Predictability and Efficient Market Hypothesis: Evidence from Iceland”) by Massoud Metghalchi, Massomeh Hajilee, and Linda Hayes)

効率的な先進国株式市場

市場の効率性はファイナンス理論の基礎となっているものであり、アセットマネジメント業界に重大なインプリケーションを持っている。米国、英国、日本、フランス、ドイツなど先進国の主要な株式市場は効率的であり、恒常的にアブノーマル・リターンを得ることはできないとされている。

OMXアイスランド総株式指数を用いた実証分析

同論文は、テクニカル分析が予測能力をもっているかをOMXアイスランド総株式指数を用いて実証研究を行ったもの。

予測力をもつテクニカル分析

このようなトレーディングルールが取引コストを加味した指数のバイアンドホールド戦略をアウトパフォームできるかどうかである。それぞれのトレーディングルールに4つの戦略を設計し検証したところ、予測力を持ちうることが判明した。

以上が同論文のポイントであろう。

テクニカル分析をバリュー投資に役立てる

市場の効率性、テクニカル分析についてわたしが思うところを少し述べたい。

テクニカル分析は無駄か?

市場は効率的であることを前提に現代ファイナンス理論は構築されている。特に米国株式市場は極めて効率的であるとされている。完全に効率的であればテクニカル分析はアブノーマルリターンは生み出せないはずである。これが理論である。実際には米国株式市場でもテクニカル分析はかなり盛んである。

効率的市場は経済学における完全市場: 実際の市場は様々

ファイナンス理論における効率的市場仮説は、理論モデル構築上の前提である。これは経済学における完全競争市場と同様の概念であるといってよいであろう。
実際の市場を見てみれば高度に競争的で完全競争市場に近いものもあれば、独占的、寡占的な市場もある。株式市場は一般の財市場に比べれば効率的であるが、完全に効率的ではないであろうと推定される。

バリュー投資に参考になるテクニカル分析

わたしはファンダメンタル分析、バリュエーションに基づくアクティブ投資を行っている。ウォーレン・バフェットのパフォーマンスを見れば優れたバリュー投資が超過リターンを獲得しうることがわかるであろう。しかし、バリュー投資を行えば誰でも、アウトパフォームできるものではない。バフェット、チャーリー・マンガーがアルファ(α)の源泉であるといってよい。

投資はサイエンスであると同時にアーツである

テクニカル分析が全く役に立たないかといえば、そうではなく、より参考にしたいと思っている。理論だけではなく経験に基づくアドバイスは参考になる。ネット証券だけでなく、総合証券と付き合うのはそのためでもある。
くり返しになるが、投資はサイエンスであると同時にアートであると思っている。

以上

2018/9/26

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