Notes on Ricardo’s Principles (50) 賃金3

中湖 康太

Notes on Ricardo’s Principles (50) On Wages 3

資本の定義

リカードは、資本の定義を述べる。リカードによれば、資本とは、土地と労働以外の生産要素である。つまり、生産にあたって(土地と)労働共に投入される食料、衣類、道具、機械、原材料その他必要なものである。これは、経済学を理解する上で重要な考え方であるといってよいであろう。

収穫逓減(限界生産力逓減)の法則

リカードは収穫逓減(限界生産力逓減)の法則について述べる。この法則は、これまでも議論の展開で度々登場している。リカード経済学の基調をなす考え方であり、経済学の基本原理の一つと言ってよい。それは、端的に言えば、他の条件を一定として、ある生産物の生産量を追加的に増やす場合に、可変的な生産要素の追加的投入量は逓増する、というものである。

価値の定義としての労働

ただし、リカードは、価値は、あくまで(相対的な)労働投入量に規定されると説く。リカードは、価値の定義を労働投入量としたためである。しかし、リカード経済学の本質、現代性、普遍性は、これまで述べたように、限界生産力を軸にその理論を展開したことにあると言ってよいだろう。

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資本とは、生産に供されるもので、食料、衣料、道具、原材料、機械、その他の労働に作用する、国富の一部である。

Capital is that part of the wealth of a country which is employed in production, and consists of food, clothing, tools, raw materials, machinery, &etc. necessary to give effect to labour.  

資本量は、その価値が上昇すると同時に増加するだろう。ある国の食料や衣料を追加的に生産するためには、より多くの労働が必要になるだろう。その場合に、それらの生産量が増えるだけでなく、価値も上昇することになるのである。

Capital may increase in quantity at the same time that its value rises. An addition may be made to the food and clothing of a country, at the same time that more labour may be required to produce the additional quantity than before; in that case not only the quantity, but the value of capital will rise.

資本量は、価値を増加させることなしに増加するかもしれない。場合によってはその価値は減少するかもしれない。食料や衣料の生産量は、機械の利用によって労働投入量を増やさずに増加させることができるかもしれない。つまり相対的な労働投入量は減少するかもしれない。資本量は、増加するかもしれない。しかし、その価値は不変、または減少するかもしれないのである。

Or capital may increase without its value increasing, and even while its value is actually diminishing; not only may an addition be made to the food and clothing of a country, but the addition be made to the food and clothing of a country, but the addition may be made by the aid of machinery, without any increase, and even with an absolute diminution in the proportional quantity of labour required to produce them. The quantity of capital may increase, while neither the whole together, nor any part of it singly, will have a greater value than before, but may actually have a less.

1の場合には、労働の自然価格は、いつも食料、衣料や他の必需品の価格に依存し増加する。第2の場合には、そのままか、あるいは下落する。しかし、いずれの場合にも、労働の市場価格は上昇する。というのは、資本の増加に伴い、生産量が増加するにしたがって、労働への需要が増加するためである。

In the first case, the natural price of labour, which always depends on the price of food, clothing, and other necessaries, will rise; in the second, it will remain stationary, or fall; but in both cases the market rate of wages will rise, for in proportion to the increase of capital will be the increase in the demand for labour; in proportion to the work to be done will be the demand for those who are to do it.

(2017/1/20)

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