Comedy Review: “Twenty Twelve” BBC

2016-05-14

Comedy Review

Twenty Twelve – Series 1-2 BBC    

Twenty Twelve – Series 1-2 DVD

ロンドン五輪をテーマにした新しいテイストのコメディ

“Twenty Twelve”は、BBC Fourで、2011年3月から2012年7月にかけて放映されたコメディー。シリーズ1、2で全13エピソードからなる。新しいテイストのコメディーで面白く全編を一気にに見てしまった。従来のコメディーと大きく異なるのは、笑いの場面で、作り手からここが笑う場面ですよということを伝える「笑い」音声が挿入されていないこと。笑うかどうかは視聴者次第、笑いの押しつけがなく極めてクールなコメディーという印象である。恐らくここ10年くらいで、笑声が挿入されるパターンから変化しているのだろう。

ロンドン五輪の準備委員会(Olympic Deliverance Commission:直訳すれば「五輪救済委員会」となるが)のヘッド、イアン・フレッチャーを中心に6人のメンバーと2人の秘書がくりひろげるドラマである。もちろん五輪開催にむけての時間軸にしたがってストーリーが展開するが、ドタバタではなく、むしろ言葉、英語の遊びといえる。登場人物は皆、しゃべりまくるが、それらの言葉に大きな意味は無く、言葉の「空騒ぎ」(Much Ado About Nothing)といった感がある。英語には、言葉の遊び、空騒ぎという伝統があるように思う。

革新を続ける英米のコメディ

主人公イアン・フレッチャーは、真面目な顔をしてしゃべりまくるが、内容はあまり無い。広告会社パーフェクト・カーブ(Perfect Curve)から同委員会のブランド担当として派遣されているシボン・シャープは、かっこうをつけた英語の発音をする。しかし、やはりその言葉に内容はほとんど無い。グレアム・ヒッチンスも、インフラ担当という重要なポジションで、やはりもっともらしくしゃべりまくるが解決策は一切語られない。問題があると”classic”(典型的な問題だ)という一言でかたずけてしまう。

日本のドラマの視聴率低迷に思う

英米ではシットコム、コメディーが進化を遂げていると感じる。日本ではドラマの視聴率の低迷が続いている。人気タレントのキャスティング、トレンディなドラマを追い求めるだけでなく「笑い」の革新を促すドラマ、コメディを作ってもらいたいものである。例えば、現代劇、現代劇などのフォーマットは本来関係ないのではないかと思う。コメディの傑作といわれるローワン・アトキンソンが演じる”Blackadder”(BBC)の舞台は中世イギリスである。

英米のコメディーを見て思うのは、キャスティングで視聴率をとろうとする作品は少ないということである。「フレンズ」(“Friends”)にも見られるように、魅力あるが無名な俳優をキャスティングする。番組が人気になるに及んでギャラが高くなり、コストが上がり打ち切るになる。

シリーズ前半では制作者(スタジオ)はたっぷりと利益をとる。シリーズが進むにつれて制作者(スタジオ)の利益率は下がるが、リスクも下がる。その意味ではリスク・リターンのバランスが取れている。このバランスが崩れる時、制作、放映も終わりになるわけである。

以上

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