‘経済・投資 Money’ カテゴリ

JPモルガン・チェース 3Q決算(2) 消費者・コミュニティ銀行業務

2018-10-23
インプレッション 主力業務、稼ぎ頭であるCCB JPMCの2018-3Qを部門別に見てみよう。消費者・コミュニティ銀行業務(Consumer & Community Banking: CCB)は、純利益の半分近く(48.8%)を占める主力業務である。JPMC全社のROE14%に対して、CCBのROEは31%と高く稼ぎ頭。 純収入の成長とマージン拡大;住宅ローンは減少 CCBの融資、預金とも拡大し、マージンが拡大している。ただし、住宅ローン関連の純収入は減少している。金利上昇のマイナスの面であろう。カード事業、自動車リースも増加している。クレジットコストも減少している。ただし、カード・ローン成長に伴い、貸倒引当を増やしている事業もある。メリハリを効かせている。 テクノロジーへの投資 テクノロジーへの投資、自動車リース事業の成長に伴う減価償却の増加により、非金利費用も増加し...
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JPモルガン・チェース第3四半期決算をみる

2018-10-21
グローバルな視点 JPモルガン・チェース(JPMC)の2018年第3四半期決算(10/12発表)を見てみたい。JPMCは世界最大(時価総額ベース)の金融サービス企業であり、その動向を知ることは、グローバルな投資の視点に繋がるからである。 わたしの印象 顧客本位 "The client is king."; Fintechもサービスの視点から まず、わたしの簡単な印象である。好調な米経済、金利上昇局面にあることを反映して好調な決算だった。減税の恩恵も受けた。名CEOとして知られるJamie Dimonは、常に顧客志向、顧客本位を唱えている。テクノロジーFintecも顧客が何を求めているかを軸に考えている。この軸足を貫いている。金融コングロマリットのトップとしてのフィロソフィーである。これが優れた経営、事業展開に繋がっている。 また、リアル(実物支店)とバーチャル(Fintech)を...
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公開市場での情報トレーディング利益の減少(JAI 2018秋)

2018-10-17
JAI Fall 2018の2本目の論文は、公開市場における情報にもとづくトレーディング(Informed Trading)のリターンの減少について述べている。取引コスト、情報コストの低下による市場の効率化にともない、情報トレーディングのアルファが低下している。それによりプライベートキャピタル、オルタナティブ投資の重要性が増していることを示唆しているといえる。 「株式及びオプション市場における情報に基づくトレーディングの衰退」(“The Decline of Informed Trading in the Equity and Options Markets,” Charles Cao, David Gempesaw, and Timothy Simin) トレーディングの隆盛と取引コスト、情報コストの減少 公開市場におけるトレーディングが、進化していることは言うまでもない。この背景...
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10/15 株式市場について

2018-10-15
主因は為替 短期的なコメントをするのは本コラムの趣旨ではないが、若干述べておきたい。 円安誘導ととられても仕方がない 先週の9%近い下げに続き、本日もTOPIXは1.59%、日経平均は1.87%下げた。主因は、 <ムニューシン米財務長官は、自国通貨を安く誘導するのを禁じる「為替条項」 を日本との通商協定でも盛り込むことが「米国の目標だ」と述べた> こと。これによる円高、今後の円高懸念であろう。 カンフル剤は常用薬にはならない 日本の金融政策が「円安誘導」ととられても仕方がない状況にあることがある。 マイナス金利、YCCはあくまでカンフル剤である。カンフル剤はあくまでカンフル剤である、ということを以前述べた。 カンフル剤をいつまでもうつことは、臨床的にいっても好ましくないだろう。 カンフル剤は常用薬にはならないのである。 日銀はむずかしいかじ取りを迫られているといえ...
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プライベート・エクイティと資本市場(JAI 2018秋)

2018-10-15
オルタナティブ投資のフロンティア オルタナティブ投資ジャーナル2018年秋号(“Journal of Alternative Investments – Fall 2018”)は、「オルタナティブ投資のフロンティア」を特集し、5本の論文を掲載している。プライベート・エクイティ、オプション・トレーディング、アセットクラスとしてのプライベート・クレジット、ボラティリティ、収集物(collectibles)を扱ったもの。 資本市場のイノベーション 資本市場の拡大、発展、成長にともなって新たな投資技法や投資対象が出現している。これは、投資家の要請であるとともに、市場参加者の創意工夫によるものだ。イノベーションはテクノロジーの世界だけでなく、資本市場においても益々盛んである。これがまた資本市場の魅力を増し、成長をうながしているともいえる。 公開企業の数が減る米国:規制コストと規模・範囲の経済...
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株式市場(10/2-12)の調整について

2018-10-13
株式変動(下落)の5類型 わたしは株式市場の変動(下落)を基本的には以下の5つに分類している。 大大   極端なイベント 金融経済危機、大不況 大    リセッション(景気後退)、ファンダメンタル悪化 中    懸念、リスクオフ、ファンダメンタル見通し悪化 小    通常の変動の範囲 大中小  バリュエーション調整 株価の行き過ぎの調整 今回の日本の株式市場の調整は、基本的には米国株式市場の調整の影響を受けたものであろうが、TOPIX(東証株価平均)は、先週10/2(火)の高値1838.3から、10/12(金)の安値1687.18へ8.2%下落した。ほぼ同様に、日経平均は先週10/2(火)の高値24448.07から、10/12(金)の安値22323.43へ8.7%下落した。 8-9%の変動というのはこのうち中程度のもので、リスクオフ、バリュエーション(株価の行き過ぎ...
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バリュー投資入門(13)バフェット2008(5)現金は王様か愚者か

2018-10-10
現金は王様か愚者か("Cash is king or loser?) バフェットとキャッシュの二面性 投資活動についてのコメントでバフェットは矛盾したことを言っている。以前、わたしは「経済においては賢明さは愚劣さの裏返し、同じコインの表裏である」と述べた。以下のバフェットの言葉は、まさにバフェットの二面性を表している。 安眠のために十分なキャッシュを持つ。しかしそれに安住するのは愚 つまり、キャッシュこそキング(王様)だといい、十分なキャッシュを持ち、安眠することを重視すると言いながら、同時にキャッシュに安住している者は愚かだ、と述べている。これはいずれも真理であると言えるだろう。 バフェットのこのような株主への説明は、自らに対する戒めと言っても良いだろう。 脱線するが、わたしはバフェットの投資スタイルの本質は、ケインズのそれと共通点があると思っている。 このような矛盾した投...
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バリュー投資入門(12)バフェット2008(4)失敗

2018-10-08
市場下落のダメージを被ったが結果としてアウトパフォームした バークシャーの投資活動について見てみよう。2008年金融危機、リーマンショックの時のものだ。 バークシャーは毎年、普通株式の主要銘柄と市場性有価証券(普通株)の期末評価額を公表している。売買、銘柄の変動があるため単純な比較はできないが、大まかなパフォーマンスをつかむために、2007年と2008年を比較してみよう。2007年はコスト39,252百万ドルに対して市場価値74,999百万ドル、2008年はコスト37,135百万ドルに対して市場価値49,073百万ドルである。市場価値は34.6%下落している。S&P500は、37.0%の下落である。バークシャーは2.4%ポイント下落率が低い。ポイントはここである。 バフェットのおかした2つのしくじり バフェットといえどもこの市場の下落は予期せぬものだったことがわかる。特に、...
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バリュー投資入門(11) バフェット2008(3)評価基準

2018-10-08
価値創造と事業経営の視点 前回に引き続き、序論の最後の部分を見ていきたい。バフェットとチャーリーがバークシャーをどのように見て経営しているかについて述べられている。 分類の妙 バフェットは、バークシャーについて、価値の源泉については2つの分野に、事業経については4つの分野に分けている。 価値の源泉は、①金融事業と②非金融事業という分け方をしており、事業は、①ユーティリティ事業、②保険事業、③金融・金融商品事業、④投資事業、である。 わからないものには投資しない、数字だけでは投資しない 会社経営について、ポートフォリオの分散投資に通じるものがある。但し、事業分野はバフェットが理解、熟知し、競争優位を発揮できるものにフォーカスしていることがわかる。わからないものには投資しない、数字だけでは投資しない、というバフェットの考え方が表れている。 投資においては過小評価されて証券に投資す...
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バリュー投資入門(10)バフェット2008(2)総括2

2018-10-05
バフェットの2008年の総括は続く。 まず私見を述べよう。 何を買うか以上に重要な、なぜ買わないか、どのくらい買わないか バフェットが株式市場の暴落、危機をむしろ買いの機会としてとらえていることは当然である。より重要なのは、そのような状況で買う資金を用意していることである。 バフェットのバリュー投資で重要なのは、勿論何を買うかであるが、それ以上に重要なのは、市場暴落時に買う資金を準備していること、資本配分であるといって良いだろう。 貨幣への投機的需要 つまり、市場が要求するリターンを提供しつつ(これは端的には十分に高いROEであると言って良いだろう)、一方で短期的にはそれを低める作用もある流動性 - これこそがケインズが貨幣への投機的需要といったものと言ってよいだろう - を準備していることである。 この妙なるポジション、資本配分こそ、バリューを考え抜いた事業、投資に共通する...
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